景気循環をもたらすもの【景気 基礎1】

1.景気の方向性と水準

○景気の「方向性」と「水準」は区別すべし

 ・景気の方向性→「景気回復局面(上向き)」と「景気後退局面(下向き)」

 ・景気の水準→「好況(一定水準より上)」と「不況(一定水準より下)」

 ・「方向性」と「水準」は必ずしも一致しない

 ・一般的には、「方向性」が先行する(先行きを示すのも方向性)

 

2.経済の動きには長期と短期がある

○「短期」

 ・短期の経済変動は、需要面より分析

 ・個人消費や設備投資、輸出の動きにより分析

 

○「長期」

 ・長期の経済変動は供給面より分析

 ・労働力、資本ストック、生産性により分析

 ・「潜在成長率」;中長期的に持続可能な成長率

 ・国ごとの生活水準などにも関わる。長期的に生活水準を引き上げるには、

  需要の引き上げではなく、生産性を高めていくことが大事。

 

3.景気循環(短期)をもたらすもの

○外的ショック

 ・海外経済の動向や、為替レート、株価などの変動や、災害の発生により

  好循環が終わることがしばしば。

 

○財政政策

 ・「財政政策」;政府が実行するもの

 ・公共投資の増加や減税(補助金含む)などを行う

 

○金融政策

 ・「金融政策」;中央銀行が実行するもの

 ・金利の引き下げなどを行う

 ・基本的には金利の誘導を行う

  #金融緩和;中央銀行が資金を市場に供給することで金利低下

        →お金を借りやすくなり住宅投資・設備投資が増加

         株価上昇や通貨安をもたらすこともある

 ・現在は金利が0に近いため政策金利を下げることが難しいため、

  長期国債社債ETFなどの資産買い入れを増やすことも多い

 ・金利低下が企業の投資増加につながるまでにはタイムラグがあるが、

  株価や為替レートへの影響はすぐに表れる。

  ※ETF;上場投資信託(Exchange Traded Fund)

       複数の銘柄で構成され、日経平均株価TOPIX東証株価指数)等の

       指数に連動するように運用される投資信託の一種

 

○耐久消費財・設備投資の循環

 ・耐久消費財(自動車や家電)の消費や、設備投資は景気回復の初期に

  多くなる傾向。(→景気を刺激する)

 ・一定水準になると需要は頭うちをする。

 ・景気悪化時は設投資を減らすが、やがて需要に対して不足するため、

  設備投資を増やすことになり、景気を刺激する。

 

○在庫循環

 ・一般的には、企業は需要の増加分(減少分)を上回るペースで、

  生産を増加(減少)させるが、一定水準をこえると、反対に転じるため、

  循環が生まれる。 

 

参考図書:『予測の達人が教える 経済指標の読み方』(新家義貴,日本経済新聞出版)